今年も残すところあとわずか。師走の気忙しさの中、幼い子供達はサンタクロースからのプレゼントを楽しみに日々過ごしていることでしょう。
サンタクロースはフィンランドの伝承を元にして1823年アメリカで発表された「聖ニコラスの来訪」と言う詩が元になっていると言われています。サンタがプレゼントを靴下に入れることや、トナカイにのってやってくることなどが記されたその詩が広く流布して現在のサンタクロースのイメージが出来上がったようです。その後、サンタの生誕地はフィンランドにある北極圏のラップランドと言うことになり、そこにはサンタクロース村まで作られ、今では世界中の子供からサンタ宛てに手紙が届くようになりました。
しかし聖ニコラス(正教では聖ニコライ)は3世紀頃ビサンチン帝国のパタラ(現トルコ領)で生まれ、後にキリスト教の大主教となった実在した聖人なのです。聖ニコライが司祭の時、財産を失い娘たちを身売りしなければならなくなってしまったある商人を助けるため、夜中密かにその家に金貨を投げ入れ、その金貨が暖炉に吊るしてあった靴下の中に入ったことが、サンタクロースのストーリーの起源となりました。
聖ニコライは巡礼のため船で移動中暴風雨にあい、船から転落して水死した船員を蘇らせたり、様々な奇蹟を行った伝承があります。そのため商人の守護聖人と同時に船乗りの守護聖人として今も崇められています。
没後ビサンチン帝国のミラと言う町に葬られていた遺体(不朽体)は、その伝承故、11世紀に南イタリアのバーリの船乗りたちによって持ち去られてしまい、現在もバーリのサンニコラ教会に安置されています。バーリの教会の祭壇に不朽体が入った5月9日は正教会の「奇蹟者聖ニコライの不朽体移動」として記念日となりました。
聖ニコライの命日である12月6日もまた正教では重要な名前の日で、その日は船乗り(漁師)の守護聖人であることから、魚を食べる慣わしになっています。
ブルガリアのクリスマスは宗教儀式の日として家族と祝います。クリスマスイヴに生命と大地の恵みを意味する大きな丸いパンを作り、その中にコインや願い事を書いた紙などを入れて焼きます。焼きあがったパンは神様と家に捧げられてから、家族に分け与えられます。何が入っているか、どんな願い事がかなうのか、子供たちはわくわくしながらパンをかじり、イヴを楽しみながら過ごします。大人たちもパン食し、ワインを飲みながら過ぎし年を振り返り、これからの一年が願い事がかなう素晴らしい年になるよう祈るのです。
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